三角図を活用した授業評価の実践例

小学校3年生の算数の授業で,「3年生で一番人気の給食が何か,伝わりやすい棒グラフを選ぼう」という「問い」が与えられ,3人の児童が話し合いながら3種類の異なる棒グラフから1つを理由付きで選択する話し合い活動を分析・評価した実践を例に示します。1つのグループの対話を約7分ずつの3段階(前半,中盤,後半)で分析した結果を可視化した三角図を下に示します。

児童らは外側の三角形の観点でのみ話をしています。つまり,児童らは「問い」を意識できておらず,何を伝えやすいかとは別の何らかの視点で3種類の棒グラフを比較していることが読み取れます。

中盤になってもまだ児童らは「問い」を意識することができていません。何らかの視点で「部品A」の棒グラフは良くないと判断し,残りの「部品B, C」の2種類の棒グラフについて何らかの視点で比較していることが読み取れます。ちなみに,この「問い」には正解が存在し,「部品A」の棒グラフを選択することが正解でした。

後半になって,児童らはようやく「問い」を意識することができたようです。「問い」を意識することで,中盤で排除した「部品A」の棒グラフも候補の1つに戻り,ようやく内側の三角形の観点,つまり「問い」を解くために3種類の棒グラフのどれが適切かを適用して考えたり,どの棒グラフがより適切かを比較して考えたりする話し合いが行われていることが読み取れます。

三角図で読み取れることと限界

上の例で書いたように,誰がどの観点でどの程度話をしているかを一見して読み取ることができます。しかし,具体的にどのような話し合いが行われたか,深い学びにつながるような話し合いが本当に行われていたかなどについては三角図では表現しきれません。三角図で全体的な話し合いの特徴を把握したうえで,具体的な対話内容を確認することが必要だと考えています。